AI新規事業の始め方|1人で立ち上げた7つの手順と変わらない本質
AIで新規事業を立ち上げたい方へ。人を集めて0→10億円の新規事業を作った経験と、2026年7月からAIと1人で展示会ポータルを立ち上げ約3か月で月間PV5,000超に至った実体験を対比し、変わった点・変わらない点と7つの手順を解説します。
結論から書きます。AIを使えば、新規事業の「作る」部分は1人でも回せます。私は2026年7月5日から、AI(Claude・Codex)だけで展示会ポータル「BizExpo.jp」を企画・開発・運営し、約3か月で月間PV5,000超、平日1日あたり約260セッションのサイトになりました。一方で、「誰の何を解決するのか」「何をやらないか」「数字を正直に見る」という部分は、人を集めて10億円規模の新規事業を立ち上げた昔と何も変わりませんでした。AIで変わるのは速さと安さであって、事業の見立てそのものは変わりません。
この記事は、AIを使って新規事業を立ち上げたい経営者・事業責任者の方、または既存事業の新サービスを少人数で始めたい方に向けて、私の実体験をもとに進め方と現実を書いたものです。
AIで新規事業を1人で立ち上げるのは現実的か
結論は「現実的です。ただし、できることとできないことがはっきり分かれます」です。
まず前提を共有します。私はプログラミングを学ぼうとするたびに挫折してきた非エンジニアです。コードは書けません。それでも2026年7月に、AIに日本語で頼む方法だけで、会議管理・顧客管理・タスク管理を備えたB2B業務システムを自作し、自社の事業運営で実際に使っています。その延長で始めたのがBizExpo.jpです。
AIにできたのは「作る」ことです。画面を作る、データを保存する仕組みを作る、公開する、不具合を直す。この一連の作業を、私は人に頼まずAIに頼みました。
AIにできなかったのは「何を作るか決める」ことと「やらないことを決める」ことです。ここは昔と同じく私の仕事でした。むしろ作るのが速くなった分、決めるのが遅いとすぐにボトルネックになります。
なお「AI 新規事業」と検索すると、AIそのものを商材にする事業の話と、AIを道具として使って事業を立ち上げる話が混ざって出てきます。この記事は後者です。商材はAIでなくてかまいません。展示会ポータルも、AIとは直接関係のない商材です。
私の2つの新規事業体験:人を集めた昔と、AIと1人の今回
私の経歴は運営者紹介にまとめていますが、新規事業に関わる部分だけここに書きます。
昔:人を集めてから始めた0→10億円の新規事業
大手企業で営業を経験したあと、ベンチャーで0→100億円に成長する過程を営業・企画の立場で経験しました。その後、0→10億円の新規事業を立ち上げ、運営しました。会社名や商材、年次はここでは書きません。
当時の進め方は、今振り返ると「人を集めてから始める」型でした。企画を固め、作る人・売る人・支える人を確保し、体制ができてから動く。何かを試したければ、作れる人の予定を押さえ、仕様を説明し、できあがるのを待つ。試作一つに時間とお金がかかるので、「やってみてから考える」はなかなかできませんでした。【要確認:当時の企画から公開までにかかった期間や、試作をどう進めたかについて本人の実体験を追記】
それでも事業が形になったのは、「誰の何を解決するか」の見立てが外れていなかったこと、途中でやらないことを決められたこと、数字を良く見せずに見続けたこと、この3つが大きかったと感じています。
今回:2026年7月5日、AIと1人で始めたBizExpo.jp
BizExpo.jpは展示会の情報を集めたポータルサイトです。2026年7月5日に開発を始め、企画・開発・運営のすべてを私1人で、AI(Claude・Codex)と一緒に行っています。
作り方は、ターミナル(黒い画面で文字の命令を打つ道具)で動くAIエージェントのClaude CodeやCodex CLIに、日本語で「こういう画面を作ってほしい」「この一覧に検索を付けてほしい」と頼み、できたものを自分で確認し、直してもらい、公開する、という繰り返しです。サイトはNext.jsという仕組みで作り、Vercelというサービスで動かしています。画像の一部はAIで生成し、「AI生成」と明示しています。
数字は実測値だけを書きます。開発開始から約3か月後、2026年9月8日〜10月7日の直近30日間のGA4(Googleのアクセス解析)では、表示回数5,952、セッション約3,100、平日1日あたり約260セッションでした。サイト上では切り捨てて「月間PV5,000超」と表記しています。収益の数字や今後の見込みは、この記事では書きません。実測で確かめた数字だけを出すと決めているからです。
人を集めてから始めた昔と比べると、動き始めるまでの速さが段違いでした。一方で「結局これは誰のためのサイトなのか」を考える時間は、昔と同じだけかかりました。
AIで変わったこと・変わらなかったこと【比較表】
2つの体験を並べると、変わったことと変わらなかったことがはっきり分かれました。
| 観点 | 人を集めてから始めた昔の新規事業 | AIと1人で始めた今回(BizExpo.jp) | 変わったか |
|---|---|---|---|
| 企画から公開までの速さ | 体制を作ってから動くため、公開まで時間がかかった | 2026年7月5日に着手し、作りながら公開していった | 変わった |
| 試作のコスト | 作れる人の時間とお金が必要で、気軽に試せない | 一画面単位でAIに頼めば、その日のうちに形になる | 変わった |
| 作る人を待つ時間 | 仕様を説明し、できあがるのを待つ | 待たない。残るのは自分の判断待ちだけ | 変わった |
| 誰の何を解決するかの見立て | 事業の成否を決める最重要の判断 | 同じ。AIは案を出すが、決めてはくれない | 変わらない |
| やらないことを決める | 機能や顧客を絞るほど事業が強くなった | 同じ。作れる分だけ、絞らないと散る | 変わらない |
| 数字を正直に見る | 良く見せたくなる誘惑と戦う | 同じ。実測値だけ・切り捨てで出すルールにした | 変わらない |
| 作業の主な相手 | 社内外の人 | AIエージェント(Claude・Codex) | 変わった |
| 最後に責任を持つ人 | 自分 | 自分 | 変わらない |
表にして気づいたのは、変わったのはすべて「作る」側の話で、変わらなかったのはすべて「決める」側の話だということです。
言い換えると、AIで新規事業を始めると、事業の良し悪しが「決める力」にそのまま現れます。昔は作る工程に時間がかかるぶん、途中で考え直す余裕もありました。今は作るのが速いので、見立てが甘いまま走るとすぐに形になり、すぐに止まります。速さは味方ですが、甘さも速く表に出ます。
1人で始めて失敗したこと(実話)
良いことだけ書くと信用されないので、失敗を先に書きます。
最初から全部作ろうとして止まった
BizExpo.jpを始めた当初、私は頭の中にあった機能を全部まとめてAIに頼みました。AIは一度にたくさん頼んでも応えようとしますが、確認する側の私が追いつきません。何が出来ていて何が出来ていないのか自分で把握できなくなり、手が止まりました。
直し方は単純で、「一画面・一機能ずつ」に切り替えました。今日はこの一覧だけ。確認して公開する。次はこの検索だけ。この順番にしてから、止まらなくなりました。自社の業務システムを作ったときも同じ失敗をしていたのに、新規事業になると欲が出て、また全部作ろうとしてしまったのです。
デザインをAIに任せたら「どこにでもある見た目」になった
aisoudan.jp自体を2026年10月7〜8日に作り直したとき、UIデザイン(画面の見た目)をAIに任せました。出てきた3案はどれも、グラデーション、光彩、カードの多用という「AIで作ったサイトっぽい」見た目でした。3案すべてボツにし、「グラデーションを使わない、光彩を使わない、カードを並べない、白と青を基調にする」と制約を言葉にして渡したところ、ようやく落ち着いた案になりました。
学んだのは、AIに「いい感じに」と頼むと平均的なものが返ってくる、ということです。何を避けるかを言葉にするのは、やはり人の仕事でした。デザイン作業そのものはCodexに任せ、私は検証と制約チェックに回る形にしてから、やり直しが減りました。なお、作り直し自体はほぼ2日で公開まで進み、問い合わせフォームやGA4のキーイベント、Search Consoleの設定までAIと一緒に進めました。
専門用語で止まった
AIの回答に出てくる専門用語が分からず、作業が止まることが何度もありました。「その言葉を使わずに説明して」と頼むと、別の言い方で説明してくれます。この一言を覚えてから、分からないまま進めることがなくなりました。最初の環境準備が一番心細かったのも事実で、ここは経験者に横で見てもらえると早いと感じた場面です。
AIで新規事業を始める7つの手順
ここからは、私がBizExpo.jpで実際にたどった順番を、7つの手順に整理します。
手順1:誰の、どんな困りごとを解決するかを一文で書く
AIに触る前に、紙に一文で書きます。たとえば「展示会に行きたい人が、いつどこで何が開かれているかを一か所で探せない」のように、主語が誰で、何に困っているかが入っていれば十分です。この一文が書けないうちは、AIに何を頼んでも散ります。昔の新規事業でも、ここがぶれた企画は形になりませんでした。
手順2:やらないことを先に決める
作れるからこそ、やらないことを決めます。私はBizExpo.jpでも、最初に出す機能を絞り、残りは「後で」の欄に書き出しました。やらないことが決まっていると、AIへの指示も短くなります。AIは頼めば何でも作ろうとするので、絞る役は人が持つ必要があります。
手順3:一画面だけ作って公開する
最初の失敗から学んだ順番です。一覧でも紹介ページでも、一画面だけAIに頼み、動いたら公開します。公開してから直すほうが、作りきってから公開するより速く、気持ちも軽いです。頼み方は「このデータを一覧で見せる画面を作って。並び順は開催日が近い順。それ以外は作らないで」のように、やることとやらないことを両方書きます。
手順4:使いながら、その日のうちに直す
公開したサイトを自分で毎日使います。不便を見つけたら、その日のうちにAIに直させます。これは私が自社の業務システムでも続けている習慣です。直す単位を小さくしておくと、どこを変えたか自分で追えます。翌日に持ち越すと、何が不便だったかの感触が薄れます。
手順5:計測を入れて、実測値だけを見る
GA4とSearch Console(Googleの検索でどう表示されているかを見る道具)を早めに入れます。設定の手順もAIに聞きながら進められます。そして見る数字は実測値だけと決めます。私はAIが出してくる数字や事例をそのまま載せず、実測値だけ・切り捨てで出すルールにしています。「月間PV5,000超」という表記もその結果です。盛った数字は、次の判断を誤らせます。
手順6:AIの出力は自分で確認してから公開する
AIが作った画面、文章、設定は、どれも公開前に自分で見ます。間違いが混ざることがあるからです。確認の時間は作る時間より長くなることもありますが、ここを飛ばすと信頼を失います。1人で始める事業は、信頼が最初の資産です。同じ指示でもClaude CodeとCodex CLIで得意不得意が違うので、出てきたものを比べて選ぶこともあります。
手順7:数字を見て、続けるか・変えるか・やめるかを決める
毎月、実測値を見て決めます。続けるのか、方向を変えるのか、やめるのか。この判断はAIにはできません。やめる判断は昔も今も一番難しい判断ですが、AIで作るのが速くなった今、以前より重要になっています。作れてしまう分、やめ時を逃しやすいからです。
中小企業が新規事業にAIを使うときの現実
一般論も押さえておきます。帝国データバンク(2026年5月発表)によると、業務で生成AIを活用している企業は34.5%で、中小企業は32.4%、小規模企業は28.0%です。活用企業の9割近くが効果を実感している一方、情報の正確性への懸念と、従業員間の使いこなし格差が課題として挙がっています。
また、ラクスルの調査(2026年7月、従業員2〜100名の中小企業300名)では、中小企業のAI活用は「個人の業務効率化」にとどまるとされています。新規事業のような「作る」用途までAIを使っている会社は、まだ少数だと考えてよさそうです。
私の場合は、個人の効率化を飛ばして「作る」用途から入りました。それができたのは、業務システムを自作した経験で「AIに日本語で正しく頼めば形になる」と体で分かっていたからです。何から手を付けるか迷っている方は、AI導入は何から始めるかで書いた小さな一歩から入るほうが安全だと思います。
ちなみにLeachの「中小企業AI導入実態調査2026」では、最大の障壁は「何から始めればいいか分からない」が62%とされています(支援先40社超を対象とした限定的な調査である点は留意が必要です)。新規事業に限らず、最初の一歩の壁が一番高いのは、私の体感とも一致します。
1人で始めるときの体制:内製・外注・相談相手
「AIがあれば全部1人でできる」とは私は言いません。1人でやって良かった部分と、人の手を借りたほうが早い部分があります。
- 1人でやって良かった部分: 一画面ずつ作る、使いながら直す、数字を見る。判断と実行の間に人が入らないので速い。
- 人の手を借りたほうが早かった部分: 最初の環境準備、専門用語の壁、デザインの制約出し。経験者が横にいれば数日は縮んだと感じています。
- AIにやらせても結局自分で持つ部分: 誰の何を解決するか、やらないこと、数字の判断。
開発を外に出すか中で作るかの考え方は、AI開発費用の内製・外注比較に別記事として書きました。また、新規事業は作ったあとに売る工程があり、ここにもAIは使えます。AIの営業活用に、私が実際に行っている使い方をまとめています。
最後に一言だけ。「決める側」の壁打ち相手が欲しい方には、AI顧問として月1回のオンラインMTGで月5万円(税別)の形でご一緒しています。まずは無料相談(30分・オンライン)で、いま考えている事業の一文を聞かせていただければ、私の失敗を踏まえた率直な意見をお返しします。
まとめ
- AIで新規事業を始めると、「作る」工程は1人でも回る。私は2026年7月5日から約3か月で、月間PV5,000超・平日1日約260セッションのサイトを1人で立ち上げた。
- 変わったのは、企画から公開までの速さ、試作の安さ、作る人を待たなくていいこと。
- 変わらなかったのは、誰の何を解決するかの見立て、やらないことを決めること、数字を正直に見ること。
- 失敗は、最初から全部作ろうとしたこと、デザインを丸投げしたこと、専門用語で止まったこと。どれも「一つずつ」「言葉にする」「聞き返す」で直った。
- 7つの手順は、一文で書く→やらないことを決める→一画面公開→その日に直す→実測値を見る→自分で確認→続けるか決める。
よくある質問
プログラミングができなくても、AIで新規事業のサイトやサービスを1人で作れますか?
私はコードを書けない非エンジニアですが、AIに日本語で頼む方法だけで展示会ポータルを1人で作り、運営しています。ただし最初の環境準備と専門用語の壁で止まりやすいので、分からない言葉は「その言葉を使わずに説明して」と聞き返す習慣が助けになります。
AIで新規事業を立ち上げるには、どのくらいの期間がかかりますか?
私の場合は2026年7月5日に開発を始め、約3か月で月間PV5,000超のサイトになりました。ただし速くなったのは「作る」工程だけで、誰の何を解決するかを決める時間は昔と同じだけかかりました。商材や市場によっても大きく変わります。
新規事業でAIに任せられることと、任せられないことは何ですか?
任せられるのは、画面や仕組みを作る、公開する、不具合を直すといった「作る」作業です。任せられないのは、誰の何を解決するかの見立て、やらないことを決めること、数字を見て続けるかやめるかを判断することです。ここは今も私自身の仕事です。
AIで新規事業を始めるとき、最初に何から手を付ければいいですか?
AIに触る前に、「誰が、何に困っているか」を一文で紙に書くことをおすすめします。私は最初に全機能をまとめてAIに頼んで手が止まった経験から、一文を書いたあとは一画面だけ作って公開する順番に切り替えました。
既存事業の新サービスを少人数で始める場合も、同じ進め方で大丈夫ですか?
基本の手順は同じだと考えています。既存事業がある場合は、すでに接しているお客様の困りごとが「一文」の材料になるので、ゼロから始めるより見立てを立てやすい面があります。一方で、既存の業務との兼ね合いで「やらないこと」を決める難しさは増します。
参考
- 帝国データバンク「生成AIの活用に関する企業の意識調査」(2026年5月発表): https://www.sbbit.jp/article/cont1/185433
- ラクスル 中小企業のAI活用に関する調査(2026年7月): https://webtan.impress.co.jp/r/prtimes/items/000000008.000108242
- Leach「中小企業AI導入実態調査2026」(2026年): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000153035.html
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