AI開発の費用はいくら?外注・内製・AI自作を非エンジニアが比較
AI開発の費用は「誰が作るか」で桁が変わります。外注・社内エンジニア・AIで自作・AIで自作+伴走の4択を、非エンジニアの私が2026年7月にAIだけで業務システムを作って実運用した経験をもとに、費用の性質・直せるか・向く会社の軸で比較します。
AI開発の費用は「誰が作るか」で桁が変わります。外注すれば数百万円から数千万円、社内エンジニアに任せれば人件費、AIで自作すればツールの月額利用料と自分の時間が主な費用になります。私は非エンジニアですが、2026年7月にAI(Claude・Codex)だけで会議管理・顧客管理・タスク管理を備えたB2B業務システムを作り、自社で実運用しています。その体験を軸に、外注・社内エンジニア・AIで自作・AIで自作+伴走の4択を、費用の性質・直せるか・向く会社の軸で整理します。
この記事は、従業員5〜100名規模の会社で「業務ツールや社内システムをAIで作りたいが、何にいくらかかるのか分からない」と感じている経営者・事業責任者の方に向けて書いています。
AI開発の費用は「誰が作るか」で決まる
まず全体像です。AIを使った業務システム開発には、大きく4つの選択肢があります。
| 選択肢 | 費用の性質 | 自社で直せるか | 向く会社 |
|---|---|---|---|
| 外注(開発会社・コンサル) | 一括の開発費+保守費。要件が固まるほど見積りが安定 | 基本は依頼が必要 | 要件が明確で、予算と納期を決めて進めたい会社 |
| 社内エンジニア | 人件費。採用・育成の期間と費用がかかる | 直せる(その人がいる限り) | すでにIT担当がいる、または採用計画がある会社 |
| AIで自作 | AIツールの月額利用料+自分の時間 | 作った本人なら直せる | 小さな業務から試したい、自分で手を動かせる経営者がいる会社 |
| AIで自作+伴走 | AIツール費+相談料。開発は別途見積り | 本人が直し、詰まったら相談 | 自作したいが、判断や詰まりを一人で抱えたくない会社 |
費用の「額」だけを比べると自作が安く見えます。ただ、費用の「性質」はまったく違います。外注は人件費を買う、自作は自分の時間を使う、社内エンジニアは雇用を続ける。この違いを押さえておくと、後の判断がぶれません。
私の場合は、外注する予算も社内エンジニアもいない状態からのスタートでした。選択肢が「AIで自作」しかなかった、というのが正直なところです。
外注・社内エンジニアに任せる場合の費用と向く会社
外注の費用感は、AIコンサルティング会社renueが2026年に公開している目安が参考になります。
- 戦略策定: 40〜200万円
- PoC(概念実証。本格導入前の小さな試作): 200〜500万円
- 本番実装: 500〜2,000万円
幅が広いのは、作る対象と要件の固まり方で工数が大きく変わるためです。「顧客管理をAIで便利にしたい」という抽象的な依頼と、「この帳票をこの条件で自動分類したい」という具体的な依頼では、見積りの桁が変わります。
外注が向くのは、要件がはっきりしていて、予算と納期を決めて進めたい会社です。顧客の個人情報や取引情報を多く扱う場合も、セキュリティ設計を専門家に任せられる利点は大きいと感じます。
注意したいのは納品後の変更です。業務は変わり続けるので「ここを少し直したい」が頻繁に出ます。そのたびに見積りと依頼が必要だと、小さな不便が放置されがちです。保守契約の範囲は最初に確認しておくことをおすすめします。AIコンサルの費用全体は「AIコンサルの費用相場」でも整理しています。
社内エンジニアに任せる場合
社内にエンジニアがいれば、人件費の中で開発と修正を続けられます。直したいときにすぐ直せるのは業務システムにとって大きな強みです。
ただ、中小企業では現実的に難しいケースが多いと感じます。東京商工リサーチの2025年8月調査では、生成AIについて「方針は決めていない」企業が50.9%と最多で、専門人材の不足が導入の妨げとして挙げられています。採用できても1人に依存する属人化のリスクが残ります。
私の場合は、そもそもエンジニアを雇う前提がありませんでした。それでも今は、AIに実装を任せることで「社内エンジニアがいない会社でも業務システムを自分で持てる」状態になっています。この変化が次の章の話です。
非エンジニアの私がAIだけで業務システムを作った実体験
ここからが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
何を作ったか
2026年7月、会議管理・顧客管理・タスク管理を備えたB2B業務システムを、AI(Claude・Codex)だけで作りました。コードは1行も自分で書いていません。「日本語で正しく頼む」ことだけで作り、今も自社の事業運営で毎日使っています。
私はプログラミングを学ぼうとするたびに挫折してきました。その私が業務システムを持てたのは、AIが「作る」部分を引き受けてくれたからです。
どう頼んだか
やり方は単純です。ターミナル(文字で命令を打ち込む黒い画面)で動くAIエージェントに、日本語で「こういう画面を作ってほしい」と頼みます。たとえば「顧客一覧の画面を作って。会社名、担当者、最終接触日を表に出して、最終接触日が古い順に並べられるようにして」といった具合です。
最初は全部を一度に頼んで止まりました。「会議も顧客もタスクも管理できるシステムを作って」と頼むと、AIは大量のものを作りますが、何が出来ているのか私が把握できなくなります。そこで一画面・一機能ずつに切り替えました。顧客一覧だけ作る、動くのを確かめる、次に顧客の詳細画面を作る。この順番にしてから、進むようになりました。
つまずいたこと
一番心細かったのは、最初の環境準備です。AIツールを動かすための設定、必要なソフトの導入、アカウントの準備。ここは「作る楽しさ」がまだ無い段階で、しかも分からない言葉ばかりが出てきます。正直、ここで一度やめようかと思いました。
次の壁は専門用語でした。AIの回答に知らない言葉が並び、何を聞かれているのか分からず止まる。これは「その言葉を使わずに説明して」と頼むことで解決しました。AIは言い直してくれます。分からない言葉を分からないまま進めないことが、非エンジニアには大事だと思います。
エラーが出たときは、エラー文をそのまま貼り付けて「これが出た」と伝えます。自分で意味を理解しようとせず、原文をそのまま見せる。これで大半は直りました。
そして最大の学びは、「何を作るか」を決めることが本丸だった、ということです。AIは頼めば作ってくれます。でも「会議管理に何の項目が必要か」「タスクは誰が誰に振るのか」は、自分の業務を知っている私しか決められません。開発の時間より、この設計を考える時間のほうが長かったと感じます。
使いながら直す
実運用して気づいた不便は、その日のうちにAIに直させます。「この一覧、絞り込みがほしい」「この項目は要らなかった」。こうした小さな修正を外注していたら、都度の見積りと依頼が必要で、おそらく放置していたと思います。自作の一番の価値は、安さより「直せること」だと実感しています。
同じやり方で、2026年7月5日に開発を始めた展示会ポータル「BizExpo.jp」(Next.js、Vercelで稼働)も企画から運営まで1人で行っています。2026年10月7〜8日には、このaisoudan.jp自体をAstroとCloudflare Workersで作り直し、ほぼ2日で公開しました。問い合わせフォームはCloudflare D1に保存しResendでメール通知する構成で、GA4やSearch Consoleの設定までAIと一緒に進めました。業務システムもWebサイトも、頼み方の基本は同じでした。
AIエージェントとは何かについては「AIエージェントとは」で基礎から説明しています。
AIで自作するときの費用の実態
では、AIで自作すると実際に何にお金がかかるのでしょうか。私の体験では、費用は次の3つです。
- AIツールの月額利用料(契約プランによって異なります)
- サーバーやドメインなどの運用費(小規模なら少額に収まることが多い)
- 自分の時間(設計を考える時間、AIに頼む時間、動作を確かめる時間)
【要確認:実際に契約しているAIツールとサーバーの月額費用の実額について本人の実体験を追記】
金額としては外注の数百万円とは比べものにならないほど小さいです。ただ「自分の時間」は見えにくいコストです。経営者が本業の時間を削って作るなら、その価値は小さくありません。私の場合、最初の環境準備と「何を作るか」の設計に、想定より多くの時間を使いました。
もう一つ、ツールによる得意不得意があります。私はClaude CodeとCodex CLIを使い分けていますが、同じ指示でも結果が違うことがあります。aisoudan.jpのデザイン作業はCodexに任せ、私は検証と制約チェックに回りました。一つのツールで進まないとき、別のツールに同じ指示を出す選択肢を持っておくと詰まりにくいです。
自作のリスクと限界を正直に書く
自作を勧める記事は多いですが、限界も正直に書いておきます。
止まったときに誰が直すのか
自作システムは「作った本人」が直せる仕組みです。その人が不在のとき、退職したとき、あるいは本業で手が回らないとき、誰が直すのか。これは外注の保守契約や社内エンジニアには無い弱点です。私も、自分が触れなくなったらこのシステムは止まる、という前提で運用しています。業務の根幹をいきなり自作システムに乗せるのではなく、止まっても致命的ではない業務から始めるのが現実的です。
セキュリティと個人情報
顧客の個人情報や取引データを扱うシステムを、セキュリティの素人が設計するのは危険です。AIは頼めば認証やアクセス制限の仕組みも作ってくれますが、「何を守るべきか」「どこに穴があるか」を判断するのは依頼者側です。私は、外部に公開するWebサイトと社内の業務システムで、扱う情報の範囲をはっきり分けています。重要な個人情報を大量に扱うなら、外注や専門家のレビューを入れるべき領域だと考えています。
AIの出力を確認する責任
AIが作ったものは、それらしく動いても間違っていることがあります。私はAIの出力を自分で確認してから公開する、を欠かさないルールにしています。BizExpo.jpでも、AI生成の数字をそのまま載せず、GA4の実測値だけを切り捨てで出す(直近30日の表示回数5,952を「月間PV 5,000超」と表記する)ようにしています。盛らない、確認する。これはシステムでもコンテンツでも同じです。
「作れる」と「作るべき」は別
AIで作れるようになると、何でも作りたくなります。でも、既製の業務ツールで足りるなら、作らないほうが安く確実です。私自身、「何を作らないか」を決めることに時間を使いました。作る前に「これは既製ツールでは本当にできないのか」を一度確かめることをおすすめします。
「AIで自作+伴走」という選択肢と、4択の選び方
ここまで読んで、「自作はしたいが、環境準備や判断を一人で抱えるのは不安だ」と感じた方もいると思います。私自身、環境準備の段階で相談できる相手がいれば、あの心細さはかなり減っていたはずです。
自作と外注の間に、「自分で作りながら、詰まったときや判断に迷うときだけ相談する」という選択肢があります。費用の性質は、AIツールの月額利用料に相談料が加わる形です。作るのは自分なので、直せる状態は維持できます。
Leachの「中小企業AI導入実態調査2026」(支援先40社超を対象にした限定的な調査です)では、最大の障壁として「何から始めればいいか分からない」が62%とされています。私の体験でも、技術より「何から・何を」の判断で止まる時間が長かったので、この数字には実感があります。
当社のAI顧問サービスは、月1回のオンラインMTGで月5万円(税別)から、こうした判断の伴走を行っています。AI開発そのものは別途お見積りで、相談の中では「既製ツールで足りるのではないか」も含めて一緒に検討します。料金は料金ページ、私の経歴は運営者紹介をご覧ください。
判断の手順
- 既製ツールで足りないかを確かめる。 足りるなら作らない。これが一番安い選択です。
- 扱う情報の重要度を見る。 顧客の個人情報や取引データが中心なら、外注または専門家のレビューを前提にする。
- 止まったときの影響を見る。 止まると業務が回らないなら、保守体制のある外注か社内エンジニア。止まっても代替手段があるなら、自作から試せる。
- 要件の固まり方を見る。 要件が明確なら外注の見積りが安定する。まだ曖昧なら、自作で小さく試して要件を固めてから外注する、という順番もある。
- 自分で手を動かせる人がいるかを見る。 経営者や事業責任者が自分で触れるなら自作、触れないなら外注か社内エンジニア。
私の場合は、2・3の条件を満たす範囲(重要情報が少なく、止まっても代替できる業務)で自作を始め、そこから広げました。最初から業務の全部を乗せなかったことが、結果的に良かったと思っています。
業務効率化の具体的な進め方は「AI業務効率化の事例と進め方」も参考にしてください。
まとめ
- AI開発の費用は「誰が作るか」で桁が変わります。外注はrenueの目安で戦略策定40〜200万円、PoC 200〜500万円、本番実装500〜2,000万円。自作はAIツールの月額利用料と自分の時間が主な費用です。
- 私は非エンジニアですが、2026年7月にAIだけで業務システムを作り、実運用しています。コツは、日本語で頼む、一画面ずつ作る、エラー文をそのまま見せる、分からない言葉は言い直してもらう、使いながら直す、です。
- 一番の壁は環境準備と「何を作るか」の判断でした。技術そのものではありません。
- 自作の限界は、止まったとき直せる人が本人しかいないこと、セキュリティと個人情報の判断を素人がすること、AIの出力を確認する責任が自分にあることです。
- 作る前に、既製ツールで足りないかを確かめてください。作らないことが一番安い選択になることもあります。
「自分の会社の場合はどの選択肢が合うのか」を整理したい方は、無料相談(30分オンライン)でお話を聞かせてください。作るかどうかの判断から一緒に考えます。
よくある質問
AI開発を外注すると費用はどのくらいかかりますか?
renueの2026年の目安では、戦略策定で40〜200万円、PoC(小さな試作)で200〜500万円、本番実装で500〜2,000万円とされています。範囲が広いのは、作る対象と要件の固まり方で工数が大きく変わるためです。
プログラミングができなくても、AIで業務システムは作れますか?
私自身が非エンジニアで、2026年7月にAIだけで会議管理・顧客管理・タスク管理の業務システムを作り、自社で実運用しています。ただし環境準備や専門用語の壁があり、誰にでも向くとは言えません。小さく始めて確かめるのが現実的です。
AIで自作した業務ツールの一番のリスクは何ですか?
止まったときに直せる人が社内にいないことです。加えて、顧客の個人情報を扱う場合のセキュリティ設計を素人判断で進める危険があります。扱うデータの範囲を狭くし、外部に見てもらう体制を先に決めておくことをおすすめします。
外注と自作、どちらが安く済みますか?
一概には言えません。自作はツールの月額利用料と自分の時間が主な費用で、外注は人件費が主な費用です。ただし自作は「作った人しか直せない」という隠れたコストがあります。扱う情報の重要度と社内の体制で判断するのが現実的です。
まずAI開発を検討する前にやるべきことはありますか?
既製ツールで足りないかを先に確かめることです。業務システムは「何を作るか・何を作らないか」を決める工程が本丸で、ここが曖昧なまま外注も自作も進めると手戻りが増えます。私の場合もこの工程に一番時間を使いました。
参考
- renue「AIコンサルティング費用ガイド2026」(2026年): https://renue.co.jp/posts/ai-consulting-cost-pricing-guide-2026
- 東京商工リサーチ 生成AIに関する調査(2025年8月): https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201667_1527.html
- Leach「中小企業AI導入実態調査2026」(2026年): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000153035.html
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