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AIツールの選び方|中小企業が3ツールを同じ指示で試して決める手順

ChatGPT・Claude・Gemini・Copilot、会社でどれを使えばいいか。ClaudeとCodexで業務システムやサイトを作ってきた私が実践する「いちばん多い仕事を1つ選び、同じ指示で2〜3ツールに頼み、直す手間が少ない方を選ぶ」決め方を解説します。

AIツールの選び方で迷っているなら、先に製品の機能を比べるのはやめて、自社でいちばん多い仕事を1つ選ぶところから始めるのが近道です。その仕事を同じ指示文で2〜3のツールに頼み、出てきた結果を自分で直す手間が少ないものを選びます。ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotのどれが優れているかは、使う人の仕事と頼み方で変わりますし、機能は数か月で入れ替わります。だから「どれが一番か」ではなく「自分の仕事で試すとどうか」で決めるのが、中小企業にとって現実的です。この記事は、ClaudeとCodexを日々使って業務システムやWebサイトを作っている私が、実際にやっている決め方を手順にまとめたものです。

従業員5〜100名規模の会社で、「会社としてAIツールを1つ決めたい」と考えている経営者・事業責任者の方に向けて書いています。

AIツール選びで中小企業が止まる理由は「用途が決まっていない」こと

AIツールを選べない原因は、ツールの情報が足りないからではありません。「何に使うか」が決まっていないからです。

情報通信総合研究所(2025年9月)は、中小企業がAI導入を見送る理由として「効果が見えにくい」「導入コスト・運用負担が大きい」を挙げ、「用途がない」として見送るケースが目立つと指摘しています。用途がない状態で製品を比べても、比べる基準がないので決まりません。

帝国データバンクの調査(2026年5月発表、全国10,312社回答)では、業務で生成AIを活用している企業は34.5%で、中小企業は32.4%、小規模企業は28.0%でした。活用している企業の9割近くが効果を実感している一方で、情報の正確性への懸念と、従業員間の使いこなし格差が課題として挙がっています。東京商工リサーチ(2025年8月)でも、生成AIについて「方針は決めていない」が50.9%で最多でした。

つまり、使っている会社は効果を感じているのに、半数は方針を決めきれていない。この差を生んでいるのが「用途を先に決めたかどうか」だと私は見ています。

私の場合は、2026年7月に会議管理・顧客管理・タスク管理を備えた業務システムをAIで自作したとき、いちばん時間がかかったのはツールの操作ではなく「何を作るか」を決めることでした。ツール選びも同じです。用途が決まれば、比べる基準が自動的に決まります。

私がClaudeとCodexを使って分かった「同じ指示でも結果は違う」

私が日常的に使っているのは、Claude Code と Codex CLI という2つのAIです。どちらもターミナル(文字で命令を打つ画面)で動くAIエージェントで、日本語で頼むと、プログラムを書いたり、確認したり、公開作業までやってくれます。私はプログラミングを学ぼうとするたびに挫折してきた非エンジニアなので、コードは書きません。「日本語で正しく頼む」ことだけをやっています。

2つを並行して使っていると、同じ指示を出しても、得意不得意がはっきり分かれる場面があります。2026年10月にaisoudan.jp自体をAstroとCloudflare Workersで作り直したとき、私はデザイン作業をCodexに任せ、自分は検証と制約のチェックに回りました。UIデザインは3案作って全部ボツにしています。「AIで作ったサイトっぽい」グラデーションや光彩、カードの多用を排除して、最終的に白と青を基調にした案に落ち着きました。

【要確認:ClaudeとCodexに同じ指示を出して、具体的にどんな違いが出たか(文章の長さ、確認の仕方、やり直しの回数など)について本人の実体験を追記】

この経験で学んだのは、「どのツールが優秀か」という問いには意味がない、ということです。意味があるのは「この仕事を、この頼み方でやらせたとき、自分が直す手間はどれくらいか」です。製品の評判ではなく、自分の手元で起きたことで判断するようになりました。

だから、この記事では製品ごとの機能の優劣は書きません。私が確かめていない機能を断定することはできませんし、書いた時点で古くなります。代わりに、自社で確かめるための手順と観点を書きます。

AIツールの選び方|中小企業が実際にやる3つの手順

手順1:自社でいちばん多い仕事を1つ選ぶ

最初に、社内で「回数が多く、形がだいたい決まっている仕事」を1つ選びます。たとえば次のようなものです。

  • 見積書やお礼メールなど、毎週書いている文章
  • 月次の報告資料や提案書のたたき台
  • 業界ニュースや競合の動きを調べてまとめる作業
  • 売上表やアンケート結果の集計と要約
  • 社内の手作業を自動化する小さなツール作り

ポイントは「いちばん困っている仕事」ではなく「いちばん多い仕事」を選ぶことです。困っている仕事は条件が複雑で、ツールの差より仕事の難しさが結果に出てしまいます。回数が多い仕事なら、少しの改善でも積み重なりますし、比べたときの差も分かりやすいです。

手順2:同じ仕事を2〜3ツールに、同じ指示で頼む

次に、選んだ仕事の実物を1件用意し、同じ指示文を2〜3のツールに貼り付けます。指示文は次の要素を入れると、結果の差が見えやすくなります。

  • 誰向けの、何のための文章・資料か
  • 守ってほしい条件(長さ、形式、使わない表現)
  • 参考にしてほしい過去の実例(社外秘でないもの)

指示文を途中で変えないことが大事です。ツールごとに指示を調整すると、何を比べているのか分からなくなります。まず同じ文で頼み、結果を並べてから、必要なら全ツールに同じ追加指示を出します。

私の場合は、業務システムを作る途中でAIの回答に専門用語が多くて止まったことがあります。そのとき「その言葉を使わずに説明して」と頼んだら、同じ内容を分かる言葉で説明してくれました。比べるときも、分からない出力が出たら、全ツールに同じ頼み方で言い直させると公平に見えます。

手順3:出力を自分で直す手間が少ない方を選ぶ

出てきた結果を、実際に使える状態まで自分で直してみます。そして「直すのに何分かかったか」「どこを直したか」を書き留めます。

見るのは出力のきれいさではなく、直す手間です。一読して立派に見えても、事実が違っていたり、自社の言い回しとずれていたりすると、直す時間は長くなります。逆に、素朴な出力でも、数か所の修正で使えるなら、その仕事ではそのツールが合っています。

私が決めているルールは、AIの出力は毎回自分で確認してから外に出す、ということです。BizExpo.jpでも業務システムでも、AIが作ったものをそのまま公開したことはありません。確認する前提で考えると、「確認と修正が短いツール」が自社にとって良いツールだ、という基準が自然に出てきます。

用途別に「どの観点で見るか」を整理した表

手順2・3で出力を比べるとき、用途ごとに見る観点が違います。下の表は、製品ごとの機能の有無を書いたものではありません。「自社で試すときに、ここを確認する」という観点の一覧です。機能は変わるので、気になる点は試した時点で公式サイトも確認してください。

用途 試すときの指示の例 自社で確認する観点 注意しておくこと
文章作成(メール・案内文) 過去の実例を1つ渡し、別の相手向けに書き直してもらう 自社の言い回しに近いか。敬語や言い切りの癖を直す回数 社名や個人名は仮名にして試す
資料作成(提案書・報告書) 箇条書きの要点を渡し、構成案と見出しを作ってもらう 構成の順番が納得できるか。数字や根拠を勝手に足していないか 出力の数字は出典を確認してから使う
調べもの(業界・競合・制度) 調べたいテーマと用途を伝え、出典つきで整理してもらう 出典が実在し、内容が一致するか。古い情報を新しいように書いていないか 出典のURLは自分で開いて確認する
表計算(集計・要約) 項目名だけの表を渡し、集計の手順や関数の案を出してもらう 手順どおりに自分で再現できるか。説明が分かる言葉か 実データを渡す前に社内ルールを確認する
開発(自動化・業務システム) 困っている手作業を日本語で説明し、小さな画面を1つ作ってもらう 専門用語を言い換えてくれるか。動かなかったときの直し方を説明できるか 最初から全部作らず、一画面・一機能から試す

開発の行は、私の体験に基づいています。2026年7月に業務システムを作り始めたとき、最初から全部作ろうとして止まりました。一画面・一機能ずつに切り替えてから進むようになり、使いながら不便を見つけたらその日のうちにAIに直させる、という回し方になっています。ツール選びでも、小さな一機能で比べる方が差が見えます。

開発にAIを使う話は、別の記事「AIエージェントとは何か」で、ターミナルで動くAIがどう仕事を進めるかを詳しく書いています。

有料と無料、どちらから始めるか

選ぶ段階では、無料で使える範囲で手順2・3を試して問題ありません。1つの仕事を1件試すだけなら、無料の範囲で十分比べられることが多いです。

有料を検討するタイミングは、次のような変化が出たときです。

  • 仕事の中で使う回数が増え、回数制限や待ち時間が妨げになってきた
  • 複数人で使うことになり、管理者側で設定や請求をまとめたくなった
  • 社内データを扱う必要が出て、法人向けの条件(入力内容の扱いなど)を確かめたくなった

料金体系や無料枠は頻繫に変わります。この記事に金額を書いても古くなるだけなので、契約前に各社の公式サイトで確認してください。

私の場合は、ClaudeとCodexを業務の中心に置いているので、料金より「使いたいときに止まらずに使えるか」を優先して判断しています。月に数回しか使わないなら話は別です。使う頻度が先、料金は後、という順番で考えると迷いにくくなります。

社内データを入れる前に決めておくこと

ツールを決める前に、もう1つ決めておくべきことがあります。「どの情報をAIに入れてよいか」の線引きです。

試す段階では、顧客名・個人情報・未公開の売上などは入れず、仮名や架空の数字に置き換えて使うことをおすめします。入力した内容が学習に使われるかどうかの設定、データの保存場所、法人向けプランの条件は、ツールごとに違い、しかも変わります。断定はできないので、使う時点で公式の規約を読んでください。

この線引きを決めずに個人が思い思いに使い始めると、あとから「入れてはいけない情報を入れていた」と分かることがあります。ラクスルの調査(2026年7月、従業員2〜100名の中小企業300名)では、中小企業のAI活用は「個人の業務効率化」にとどまっていると報告されています。個人任せの段階から会社の運用に移すには、ルールが先に要ります。

社内ルールの作り方は「AIの社内ルールの作り方」で詳しく書いています。ツールを決めるのと同時に、1枚でよいので決めておくと、選んだあとの広げ方が楽になります。

私の場合は、BizExpo.jpで画像の一部をAIで生成し、サイト上に「AI生成」と明示しています。また、AIが出してきた数字や事例はそのまま載せず、GA4で実測した数値だけを切り捨てで出すルールにしています。何を入れるか、何を出すかの線引きを先に決めておくと、ツールが変わっても運用は変わりません。

ツールを決めたあとは「小さく始めて、使いながら直す」

ツールが決まったら、最初から全社・全業務に広げないことが大事です。手順1で選んだ1つの仕事で、次の3つを社内に共有します。

  1. 実際に使った指示文(そのまま貼って使える形)
  2. 出力を確認する手順(何を見て、どこを直すか)
  3. 入れてよい情報・入れない情報の線引き

この3つがあると、帝国データバンクの調査で課題に挙がっていた「従業員間の使いこなし格差」が開きにくくなります。使える人だけが使う状態から、「この仕事はこう頼む」が会社の資産になる状態に変わります。

私の場合は、業務システムもBizExpo.jpも、使いながら不便を見つけたらその日のうちにAIに直させています。最初に完成形を決めきらず、動く最小の形を作って、直しながら育てる。この回し方は、ツール選びにもそのまま当てはまります。最初に選んだツールが半年後も最適とは限りません。半年ごとに同じ仕事・同じ指示で別のツールを試し、直す手間が明らかに減るなら乗り換える。それで十分です。

何から始めるかで迷っている方は「AI導入は何から始めるか」も参考にしてください。

自社だけで決めきれないときは

ここまでの手順は、社内に「試す人」が1人いれば回ります。ただ、ご相談でよく聞くのは、「試す仕事をどれにするか」と「出力をどう評価するか」で止まってしまうケースです。評価の基準がないと、どのツールの出力も同じように見えてしまいます。

私がやっているAI顧問は、月1回のオンラインMTGで月5万円(税別)から、こうした「何に使うか」「どう比べるか」を一緒に決める伴走型のサービスです(料金はこちら)。研修や講座ではなく、実際の自社の仕事を題材にして進めます。ツール選びの段階で30分だけ話したい、という場合は無料相談からご連絡ください。

まとめ

  • AIツールが決まらないのは情報不足ではなく、用途が決まっていないから。情報通信総合研究所も「用途がない」を見送り理由として挙げている
  • 選び方は3手順。①自社でいちばん多い仕事を1つ選ぶ ②同じ指示で2〜3ツールに頼む ③出力を自分で直す手間が少ない方を選ぶ
  • 用途(文章・資料・調べもの・表計算・開発)ごとに見る観点は違う。製品の機能は変わるので、断定記事より自社での試行を優先する
  • 無料で試し、使う頻度が上がってから有料を検討する。料金は公式サイトで確認する
  • 社内データの線引きはツールを決める前に。個人任せのままだと会社の運用に移らない
  • 決めたあとは1つの仕事で小さく始め、指示文・確認手順・線引きを共有する。半年ごとに同じ指示で試し直せばよい

よくある質問

Q. ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotのうち、中小企業はどれを選べばいいですか?

A. 製品名で決めるより、自社でいちばん多い仕事を1つ選び、同じ指示文で2〜3ツールに頼んで比べるのが確実です。出力を自分で直す手間が少ないものが、その会社にとっての正解になります。機能は数か月で変わるので、他社の比較記事より自社での試行を優先してください。

Q. AIツールは無料版で十分ですか?有料にすべきタイミングは?

A. 選ぶ段階は無料版で試して問題ありません。有料を検討するのは、仕事の中で使う人数と回数が増え、回数制限や待ち時間が仕事の妨げになってきたときです。料金や制限は変わるので、契約前に公式サイトで最新の条件を確認してください。

Q. 社内の顧客情報や売上データをAIツールに入力しても大丈夫ですか?

A. ツールを決める前に、入れてよい情報と入れない情報の線を社内で決めておくことをおすすめします。入力内容が学習に使われるかどうかの設定や、法人向けプランの条件はツールごとに異なるため、公式の規約で確認したうえで、まず社外秘でない仕事から試すのが安全です。

Q. 複数のAIツールを試す時間がありません。1つに絞って始めてもいいですか?

A. 問題ありません。大事なのはツールの数より「どの仕事に使うか」を先に決めることです。1つで始めて、出力を直す手間が大きいと感じたときに別のツールで同じ指示を試せば十分です。試す仕事は、毎週繰り返している作業から選ぶと判断しやすくなります。

Q. AIツールを決めたあと、社内で使ってもらうにはどうすればいいですか?

A. 最初から全員・全業務に広げず、決めた1つの仕事で使い方の例文と確認手順を共有するところから始めるとよいです。個人の効率化で止まらないように、「この仕事はこのツールでこう頼む」を社内で見える形にしておくと、使いこなしの差が開きにくくなります。

参考

この記事の内容を、御社の仕事で。

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この記事を書いた人

ITなんでも相談室 運営者

大手企業での営業、ベンチャーでの0→100億の営業・企画、0→10億の新規事業の立ち上げ・運営を経験。現在は展示会ポータル BizExpo.jp を1人で立ち上げ・運営しています(AI・Claude・Codex も日常的に使用)。記事は、自分の事業で実際に試したことをもとに書いています。

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